14回日本整形外科超音波研究会

単純性股関節炎における長期関節腫脹例の検討

 

信濃医療福祉センター 整形外科

朝貝芳美 西野誠 渡辺泰央

 単純性股関節炎の関節腫脹は約2週間以内に消失し、臨床症状とも良く相関することが知られている。我々は単純性股関節炎の診断に超音波検査を実施し、これまで170例の関節腫脹の経過を観察してきた。今回、関節腫脹が2週間以上続いた例について年齢、関節腫脹の程度、経過、既往歴など臨床上の特徴について検討した。

 関節腫脹像が2週間以上続いた例は170例中44例であった。関節腫脹は最長50日間続き、21日以上続いた例は10例であった。関節腫脹の著しいfemoral neck-capsular distance健側比1.5以上は35例で、うち8歳以上が20例と多かった。臨床上の特徴として、単純性股関節炎の既往のある例が7例、経過中に疼痛増悪(再発)例が8例、アトピー、喘息などアレルギーの既往のある例が7例、経過中に感冒や水痘などによる発熱のみられた例が9例であった。関節腫脹が21日以上続いた例は12例で、うち7例は感冒、発熱のみられた例、5例は経過中に疼痛贈悪(再発)例、3例は単純性股関節炎の既往のある例、3例はアレルギーの既往のある例であった。

 単純性股関節炎で8歳以上の関節腫脹が著しい例、単純性股関節炎の既往のある例、経過中に疼痛再発例、アレルギーの既往のある例、感冒や発熱のみられた例は関節腫脹が長期化する可能性がある。