我々の行っている腱板超音波検査

Ultrasonographic evaluation of the Rotator Cuff

名鉄病院 整形外科            杉本勝正

 

我々は1987年より超音波断層法を用いた腱板超音波診断を行ってきた。

超音波本体を外来診察室に置き、7.5または10MHzプローブを用いて、

肩関節症状を訴える患者全員に行っている。検査方法は患者を座位とし肩関節中間位、

10度程度伸展位でまず前方結節間溝を指標とし肩甲下筋、上腕ニ頭筋長頭腱を検査する。

次に棘上筋腱、棘下筋腱と後方へ検査を進める。

我々の診断基準は1)腱板完全断裂-表面エコーが陥凹、菲薄化、途絶し内部エコーが低エコー。

2)滑液包面断裂-表面エコーのみが途絶、不整となり内部エコーは不変、

3)腱内断裂-表面エコーは正常に近いが内部に低エコーを認める、

4)関節包面断裂-深層のみに低エコーを認める、である。

最近では完全断裂症例において断裂の大きさと周囲の変性領域も同定し、

診断率は100%近くになっている。診断において腱板の低エコー領域をいかに正確に把握するかが

ポイントとなる。正常例でも棘上筋前縁と棘下筋とオーバーラップしている部位には低エコーが存在し、

これを断裂と誤診することがあるので注意を要する。

無侵襲、簡便な本検査法は腱板のみならず他の部位にも応用でき、有用な診断法となり得る。