腱板断裂術後の超音波検査所見

Ultrasonographic findings after rotator cuff repair

 

済生会吹田病院整形外科

岩田圭生 黒川正夫 吉岡 誠 藤井裕之 長澤浩治 吉田隆司

 

【目的】腱板再建術後1年以上経過した症例の超音波所見を検討した。

【対象】1998年以降4年間に腱板再建術をおこない、術後1年以上経過して超音波所見が得られた28例29肩を対象とした。性別は男性20例、女性8例、年齢は52歳から76歳、平均60.7歳、罹患側は右18肩、左11肩であった。腱板断裂の大きさの内訳は小断裂4肩、中断裂15肩、大断裂5肩、広範囲断裂5肩であった。超音波検査を行なった時期は術後13ヶ月から49ヶ月、平均211ヶ月であった。

【方法】超音波所見は肩峰下滑液包の境界エコーが明瞭に描出されているか否か、またその形態が正常、凸型、平坦型、凹型、判別不能のいずれか、肩峰下滑液包‐骨頭間距離(mmDSHと略す)、腱板の厚さを計測した。

【結果】肩峰下滑液包の境界エコーは明瞭15肩、不明瞭14肩であった。肩峰下滑液包の形態は正常型10肩、凸型2肩、平坦型9肩、判別不能8肩であった。腱板内部エコーは中エコー22肩、高エコー1肩、低エコー2肩、不均質4肩であった。DSH5mmから10mm、平均7.0mmであり、腱板の厚さは3mmから8mm、平均4.7mmであった。

【考察】腱板再建術後1年以上経過すると約50%の症例で肩峰下滑液包が正常化し、形態も正常型、平坦型が19肩、65.5%が正常化していた。腱板内部エコーは正常像と考えられる中エコーを示したものが22肩、75.9%となっており、腱板の良好な修復が確認できた。DSHおよび腱板の厚さはそれぞれ7.0mm4.7mmと正常腱板と同等であった。

【結論】腱板再建術後1年以上経過した腱板の修復状態を評価する方法として超音波検査は有用であった。