カラードップラーエコー下電気刺激法による

腕神経ブロック(腋下法)

Color Doppler ultrasonography-guided brachial plexus block using a nerve stimulator (Axillary Approach)

 

福岡県立柳川病院 整形外科  西岡英次              

聖マリア病院 整形外科             吉田健治                    

久留米大学整形外科              永田見生                    

                                        

(はじめに)腕神経ブロック(腋下法)は上肢の手術の際よく用いられる麻酔法である。通常は神経の放散痛を指標とするが、血腫形成や神経損傷を伴うことがある。今回我々はカラードップラーエコー下で電気刺激法による腕神経ブロックを行い、有効であったので報告する。                     (対象及び方法)整形外科の上肢領域の手術の際に腕下神経ブロックを行った7例である。10MHz のプローブを腕下動脈に対し90度の位置に置き、まず動脈、静脈をカラードップラーエコーにて描出した後、プローブの側方より電極がついた針を動静脈を損傷しないように刺入し、 正中神経、尺骨神経,橈骨神経周囲に2mAの電力刺激を与え、0.2mAで反応する部に1%リドカインを合計30M投与した。

 (結果)1例で全身麻酔に移行したものがあったが、他は麻酔効果は十分であり、血腫形成をきたしたものはなかった。神経損傷はみられなかったが、術後1週程度筋肉痛が続いたものが1例あった。                       (考察)腕神経ブロック(腋下法)の際にカラードップラーエコーを使用することにより、血管を描出しながら穿刺針の先端を傍血管組織まで導くため、血管穿刺の可能性が低く、血腫形成や薬液の血管内注入の危険性が低いと思われる。また、電気刺激法を併用することにより、神経の支配筋が収縮する位置へ針を進めて局所麻酔薬を注入するので、患者は必ずしも意識がある必要はなく、神経損傷を少なくすることができると思われる。

(まとめ)カラードップラー下電気刺激法による腕神経ブロック (腋窩法)は血管穿刺による血腫形成や神経損傷を少なくすることができ、有効な麻酔法と思われる。