術中超音波診断による脊髄腫瘍手術ストラテジー

Strategy for removal of spinal cord tumor with intraoperative ultrasonography

 

名古屋第二赤十字病院整形外科  佐藤公治、安藤智洋、佐竹宏太郎

名古屋大学整形外科       松山幸弘

 

 

【目的】脊髄腫瘍手術において超音波診断装置は、顕微鏡及び脊髄モニタリング装置と並び三種の神器と考えている。当院で行った脊髄腫瘍手術においての術中超音波診断の有用性について検討した。【対象と方法】2000年4月から2003年5月までに当院で行った脊髄腫瘍手術45例。脊髄髄内腫瘍5例、脊髄髄外腫瘍40例である。髄内はAstrocytoma2例、ependymoma1例、hemangioma1例、Germinoma1例、髄外は神経鞘腫33例、レックリングハウゼン3例、髄膜腫3例、癌転移1例。全例で椎弓開大後に水浸法で硬膜外から脊髄及び腫瘍を観察した。白黒B-modeの後、カラーモードで観察した。腫瘍血流をPI,RIにて測定した。【結果と考察】術中超音波診断行うことによって髄内腫瘍は、エコー画像にて辺縁が明瞭でsyrinxを伴う症例は摘出率が高かった。髄外では硬膜下の脊髄との癒着がなく拍動性に動く症例は、摘出が容易であった。動かない症例は髄膜腫など摘出に難渋した。カラードプラにて硬膜を開ける前に脊髄及び腫瘍の血流が把握できた。腫瘍の髄外と髄内の鑑別は硬膜内で癒着している症例では苦慮した。【まとめ】術前にMRI等で手術計画は大筋立てられるが、術中エコーを使用することにより硬膜切開の位置、出血の予想など細かなストラテジーの変更や心構えが得られた。