12.鏡視下Bankart修復術後の超音波像
Ultrasonographic evaluation of the Bankart lesion after Arthroscopic repair

杉本勝正
katsumasa Sugimoto
名鉄病院整形外科
Dept. of Orthopaedic Surg., Meitetsu Hospital

反復性肩関節脱臼の手術療法の一つに鏡視下Bankart修復術がある。前方関節唇、関節包複合体を鏡視下に修復する方法であるが、組織がいつ頃安定して肩甲骨頚部に再接着するのか具体的な報告は無い。一方我々は1995年より反復性肩関節脱臼症例に対し超音波断層法を用いてBankart病変の診断を行ってきた。今回その診断方法用い、鏡視下Bankart 修復術を行った症例の超音波像の経時的変化を捉え、術後の修復状態を観察したので報告する。
対象及び方法
7.5または10MHzプローブを用いて、検査方法は患者を臥位とし肩関節90度外転位で腋窩にプローブをあてて同一検者が術前、術後3週、6週、9週、12週、6ヵ月後に経時的に検査した。対象は2003年1月から2003年12月まで関節鏡視下Bankart修復術を行った 反復性肩関節脱臼症例12例12関節である。
結果及び考察
術前のエコー像は、Bankart病変(前下方関節唇剥離)が存在するため、関節唇と肩甲骨頚部との間に低エコーが存在し、頚部面が明瞭に描出された。術後1ー2カ月間、術前に存在した低エコーは消失するが、頚部面のエコーは正常に比べ明瞭に描出された。術後3ヵ月以後で頚部面のエコーは目立たなくなり関節唇との境界が不鮮明となった。このような超音波像の経時的変化は修復した関節唇の肩甲骨頚部への接着状況を示しており、超音波画像上正常像では関節唇と頚部の境界が明瞭でないことから、術後3ヵ月以上で画像上関節唇は正常に近いかたちで肩甲骨に再接着することが示唆された。