13.小児肘関節外傷における超音波検査の有用性
ultrasonographic evaluation of elbow in-juries in children

大島整形外科 大島正義 
oshima orthopedic clinic oshima   masayoshi

(目的)日常診療において小児肘外傷は頻度も高く、レントゲン所見に明らかな異常が認め難い場合診断に難渋する事も時にある。従来より私は肘外傷に対し超音波エコーを用い、特に後方アプローチでは関節腫脹を容易に確認出来る事を経験しており、日常の診療に役立てているので報告する。
(対象及び方法)1歳6ヶ月より6歳8ヶ月までの肘内障15例と(ほとんどの例が整復後にエコーを行った)、1歳10ヶ月から8歳5ヶ月までのその他の肘外傷13例(顆上骨折4例、橈骨頭骨折2例、外顆骨折2例、肘頭骨折2例,鈎状突起骨折1例,関節内血腫2例)を対象とした。検査方法は肘約90度屈曲位にて7.5MHzプローブを用い肘関節後方より上腕骨長軸に沿う縦断像にて肘頭窩の関節包の腫脹を観察した。
(結果)受傷当日受診した肘内障13例は全例関節の腫脹は無く健側との差は認めなかった。翌日受診の2例は極軽度の腫脹がみられた。一方外傷例ではほぼ全例に関節包の腫脹を見た。X線異常所見の乏しい外顆骨折 肘頭骨折 顆上骨折などでもエコーで明らかな腫脹がみられた。橈骨頭骨折は腫脹の軽度の例1例があった。
(結語)X線で明らかな異常が認め難い小児肘外傷例において,後方アプローチの超音波診断法は関節内変化が容易に判断でき、エコーで腫脹がある例では肘内障は考え難く、本法は外固定を行うかなどの治療方法や診断に有用な方法である。