2.経皮的アキレス縫合術における超音波検査の利用についてUltrasonically guided percutaneous repair of ruptured achilles tendon

福岡県立柳川病院整形外科
Department of Orthopaedic Surgery,Yanagawa Prefectural Hospital,Fukuoka,Japan
西岡英次 Eiji Nishioka
(はじめに)アキレス腱断裂は超音波で容易に診断可能であるが、経皮的アキレス腱縫合術を行う場合、超音波を使用することにより最適な位置で縫合を行うことができる。今回我々は超音波下に経皮的アキレス腱縫合術を行い、その結果について検討したので報告する。    
(対象及び方法)症例は8症例で、女性5例,男性3例である。年齢は19 歳〜64歳、平均45.3歳であった。縫合針は、縫合時の皮膚の陥凹を避けるために針の中央に穴があいたものを使用していたが、製造中止になったため、その後はアキレス腱の短軸にそって糸をかける場合は強彎針、長軸にそって糸をかける場合は弱彎針を使用している。現在メーカーに製作を依頼している。超音波装置は7.5MHzのものを使用した。手術時の実際の走査方法であるが、プローブをアキレス腱長軸上に置き、断裂部を確認後足関節を背屈し、至適位置で腱縫合を行う。その際断裂部、近位の刺入予定部、遠位の刺入予定部を超音波で確認しておく。まず、アキレス腱近位外側に1Bの切開を加え、腓腹神経を確認後これを外側によけておく。そこから針の至適深度を確認しながら8字状に糸を通し、開創部で縫合する。縫合後足関節をゆっくりと底背屈し、縫合部の離開がないことを確認しておく。術後プログラムについてであるが、術後3週より底屈位の短下肢装具にて歩行訓練開始し、ソールを1週に一枚ずつはがしていき、6週で装具freeとした。 
(結果)再断裂をきたしたものはなかった。田んぼに素足で入って仕事をしていた男性1例に感染をみたため、再度観血的に手術を行った。    
(考察)アキレス腱断裂部の超音波による検査にて、底背屈時の断端部の動態が把握できる。手術の際は断端部の至適位置での縫合が可能であり、縫合針の至適刺入位置や深度の確認が可能である。