3.下腿三頭筋解離手術に関する超音波検査
Ultrasonograpic findings after triceps surae muscle release

青森県立はまなす学園 整形外科 
Hamanasugakuen Handicapped Childrenユs Hospital
盛島利文、岩崎光茂、塩崎崇
Morishima Toshibumi, Iwasaki Mitsushige, Shiozaki Takashi

 我々は小児麻痺性尖足に対して下腿三頭筋解離術を行ってきた。この術前術後に、超音波検査を行い、皮切の短縮や、臨床所見の関連を検討した。
<対象・方法>脳性麻痺や頭部外傷後麻痺性尖足で、下腿三頭筋解離手術の前または後に超音波検査を行った7例(男児5例、女児2例)を対象とした。このうち2例で、腱性部、筋腱移行部、筋性部の領域を術前超音波で確認し術中肉眼所見と比較検討した。また、6例で術後検査を行ない、筋解離部の超音波所見の経時的変化と臨床所見を検討した。
<結果>術前超音波所見の下腿三頭筋腱性部、筋腱移行部、筋性部は、術中肉眼所見で、位置的に正しいことが確認できた。また、術後検査では筋解離部は筋層の低エコー領域として認められた。術後6ヶ月でもクロ−ヌスが再発しなかった3例は、術後4〜7ヶ月頃でも解離部の所見は継続していた。
<考察>当科の下腿三頭筋解離手術は長軸方向、周囲径の成長に対応するため皮切をZ状としているが、解離部が三ケ所になると皮切が長くなる傾向がある。今回、超音波所見で筋性部と筋腱移行部が確認されたことから、解離部を術前に想定し皮切を短縮できるように活用できると考えている。また、術後、尖足の再発が生じないために、筋緊張の緩和が長期に保たれていることが必要と考えられるが、超音波検査は筋解離部の状態を画像所見として客観的に記録できる方法であると考えられた。