4.当院における超音波骨折治療器SAFHS(以下セーフスと称す)の使用状況およびその結果についての検討
(SAFHS bonefracture therapy)

名古屋第二赤十字病院 (Nagoya Daini Red Cross Hospital)
整形外科 (Department of Orthopaedic)
松原正武 佐藤公治 安藤智洋 杉浦博基 北村伸二 佐竹宏太郎 小澤英史 小林和克 松井寛樹 高松晃 
(Masatake Matsubara M.D.,Koji Sato M.D.et al)

 超音波骨折治療器SAFHS以下セーフスは近年保険適用とともに使用頻度が増えつつある治療器具である。現在保険適用は受傷後三ヶ月以後の遷延治癒または偽関節症例とされていて手術や他の治療の併用については制限は無い。当院では一般的に骨の癒合傾向が見られにくい症例や開放骨折など癒合不全を起こしやすいとされる症例を中心に使用してきた。今回我々は当院でのセーフスの使用状況とその結果について検討した。対象は2000年1月からから2003年6月までの間にセーフスの使用を開始した48例48箇所の骨折である。性別は男性35例 女性18例、年齢は7歳から84歳まで平均年齢39.5歳、部位の内訳は上腕骨7例 前腕骨9例 大腿骨12例 下腿骨13例 その他7例であった。開放性骨折に使用した例は大腿骨5例 下腿骨9例の14例であった。受傷からセーフス使用までの平均待機期間は265日、使用から使用終了までの平均期間は357日であった。 最低180日の観察期間を持って結果をまとめた。骨癒合したのは48例中39例であった(癒合率81%)。ただし現在もセーフス使用中で骨癒合促進を認める症例が別に3例ありこれらはいずれ癒合が得られると考えている。残りの6例は癒合が得られず通院されなくなった症例である。次に開放性と非開放性骨折で分類すると開放性骨折では大腿骨5例 下腿骨9例があり骨癒合を得られなかったのは1例であった。一方非開放性骨折では7例が骨癒合していないが3例が骨癒合促進を認めている。セーフス開始までの期間では開放性骨折群では平均252日 非開放性骨折群では平均270日と大きな差が無かった。一方で使用期間は開放性骨折群では平均543日と長く非開放性骨折群の平均281日を大きく上回った。このことよりセーフスは開放性骨折に対しても時間はかかるが骨癒合に有利な作用を持っていると考えている。