6.Graf-type「における治療法の予測
A Prediction of Treatment in Graf type 「

山崎 謙  Ken yamazaki
扇谷浩文*  Hirofumi ohgiya
小原 周** Syu obara
三枝 超  Toru saigusa
吉澤毎樹** Tsuneki yoshizawa
斉藤 進** Susumu saito
東戸塚記念病院
Higashitotuka Memorial Hospital
*昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 整形外科
Department of Orthopaedic Surgery, Showa university, Fujigaoka Rehabilitation Hospital
**昭和大学藤が丘病院 整形外科
Department of Orthopaedic Surgery, Fujigaoka Hospital Showa University School of Medicine

我々は平成9年11月よりいわゆる先天股脱に対して、超音波診断としてGraf法と前方法を行う一方でtracion testを行いβ角の変化とmicrobubbles’ signを調査してきた。今回は脱臼症例で超音波像がtype「を示す症例にもtraction testを施行しその治療法をretrospectiveに予測した。
【症例と方法】 
平成9年11月より超音波検査を施行した295症例の中でtype「と診断した16関節につき検討した。14例のうち両側例は2例であり平均週齢は26.6週(3.7〜50.3週)であった。現在の牽引方法は日本MDM社製の簡易型牽引装置メテスを利用して一定の力で牽引している。生後3ヶ月以内は1kg、それ以降では2kgで牽引した。Traction testにて骨頭が下方に下がりtype。に近い画像に変化する症例を陽性、変化しない症例を陰性とし治療法と比較した。
【結果】
16関節中6例はtraction testで陽性であり、それらに対する治療方法としては、open reductionが1関節、manual reductionは2関節、Rb法は3例であった。陰性の10関節はすべてopen reductionであった。
【考察】
今回の検討ではtype「の症例においても、牽引により骨頭が下がりtype。に近くなる症例ではopen reductionしなくても整復できる可能性があると思われた。以上のことから超音波検査施行に際してはtypeCのstableとunstableの検討時のみならずtype「に際しても動態撮影を施行することに意味があると考える。