8.先天股脱整復前後に施行したMRIと超音波画像の比較
Comparison with ultrasonography and magnetic resornance imaging for developmental dislocation of the hip joint

大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学
Department of Orthopaedic Surgery, Osaka City University Graduate School of Medicine
今井祐記 北野利夫 酒井俊幸 高岡邦夫
Yuuki Imai, Toshio Kitano, Toshiyuki Sakai, Kunio Takaoka

はじめに:当院では先天股脱に対し、おむつにての整復の導入が出来ない場合に開排位牽引法による整復の導入を行っている。開排位牽引法による整復位は、超音波前方法及びMRIにより確認しているが、今回、MRI撮影と同日に同一肢位にて施行した超音波画像を元に、それぞれにより描出された画像を比較した。
症例:3例5股、全例女児。
方法:開排位牽引方施行後に整復導入の確認を、アロカ社製3MHzおよび10MHzプローブにて前方より施行した。また同日に鎮静下にMRIを施行し、整復導入の確認および臼内の整復阻害因子についての検索を施行した。
結果:MRIでは諸家の報告にあるように臼内の構造物についての描写が鮮明であったが、従来より施行している3MHzプローブによる超音波画像では十分な描出が困難であり整復位の確認は可能であったが、臼内構造物の詳細は不明であった。一方で10MHzプローブによる超音波画像では、MRIに近い詳細な像を描出可能であった。
考察:MRIは詳細な画像描出が可能であるという利点があるものの、Staticな状態しか確認できないことや乳幼児においては薬剤による鎮静が必要であるという不利な点が上げられる。今回高解像度超音波を使用することで、より鮮明な関節内構造物の描出がDynamicに可能でありまた鎮静も不要であった。乳幼児股関節疾患において高解像度超音波は有用であり更なる検討・応用も推進すべきであると考えられた。