1, 超音波を用いて石灰沈着性中殿筋腱炎の診断・加療をした2例


佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター
大内 洋

レントゲン上石灰化の確認が困難な大転子部痛の症例に対し超音波装置を用い、石灰沈着部位の確認及び超音波ガイド下ステロイド注射を行った経験を報告する。
<症例供覧>52歳男性。起床時からの右大腿部痛及び歩行困難を主訴に来院。初診時右大転子直上に圧痛著明。レントゲン上右大転子部の石灰化不明で、超音波検査にて中殿筋付着部の石灰化像を認めた。超音波ガイド下に1%キシロカイン3ml+ケナコルト10mg注射施行直後より疼痛軽減、通常歩行可能になった。1週間後の受診時に疼痛は消失していた。
<考察>股関節の石灰沈着性腱炎は寛骨臼蓋縁、大転子部、及び周辺滑液包に石灰化を認める。また急性型では疼痛が強く、著しい可動域制限を認め、歩行も困難となる。この急性型に関してはレントゲン上石灰化の確認が困難である事が多く、超音波を用いて石灰化部位を確認し、同部位へ超音波ガイド下ステロイド注射を行う事は有効な治療法である。