10, 悪性骨・軟部腫瘍の血管浸潤の判定に対するカラードプラの有用性

Usefulness of color Doppler ultrasonography in assessment of vascular invasion by the malignant bone and soft tissue tumors

兵庫医科大学整形外科、*同中央臨床検査部

麩谷博之、肥塚明日香*、福永訓、吉矢晋一

【目的】悪性骨・軟部腫瘍の手術で、主要血管への浸潤は手術法に大きく影響する。今回、主要血管への腫瘍浸潤の観察で、カラードプラの有用性を検討する。【対象と方法】2000〜2005年の間、四肢発生の悪性骨・軟部腫瘍で主要血管と近接していた16例を対象とした。カラードプラで血管の状態をGrade(G)0〜4に分類した。つまり、腫瘍と接しない(G0)、腫瘍と接する(G1)、圧迫を受ける(G2)、腫瘍内に取り込まれた(G3)として、肉眼的所見と比較した。【結果】G0(n=6)、G1(n=4)、G2(n=3)、G3(n=3)であった。肉眼的所見と一致しなかったのはG0の1例(17%)で、血管は腫瘍と接していた。血管の圧迫や腫瘍内に取り込まれた状態は、カラードプラによって全例判定可能であった。【考察】カラードプラは血管と腫瘍の関係を観察することに有用で、特に、圧迫や取り込まれた状態の観察に優れていた。