4, 高位麻痺を生じた正中神経の超音波所見

天翁会新天本病院

中島浩志

聖マリアンナ医科大学整形外科学教室

清水弘之、別府諸兄

[目的]正中神経に高位麻痺を生じた症例の超音波検査で正中神経に変化像を捉えられるか検討した。

[対象と方法]正中神経高位麻痺を生じた8例の前腕屈側を走査した。とくに円回内筋上腕頭の下へ潜る正中神経を中心に検討した。

[結果]5例に正中神経の肥厚を認め、うち1例は円回内筋の下で神経の厚みが減少していた。1例は深部の正中神経を描出できなかったが遠位で神経の腫脹を認め、1例は患側のみ神経を描出できたので患側に腫脹があると判定した。1例だけは正中神経の像に左右差がなかった。

[考察]円回内筋の下は深くなって正中神経の画像が不鮮明なことがあり、全例の正中神経を観察できるわけではないが、前腕から肘窩において正中神経の腫脹を検出できれば麻痺の高位診断に参考となる。正中神経高位麻痺に対して前腕中央より近位で超音波検査を行うことは有用である。