5, 超音波断層法を用いた肘関節部尺骨神経の形態評価

駿河台日本大学病院 整形外科

佐藤多賀子、長岡正宏、長尾聡哉、松崎浩巳

(目的)超音波断層装置を用いた健常者における肘関節部尺骨神経の形態評価を行ったので報告する。

(方法)超音波診断装置は日立?EUB‐5500、リニア探触子を使用した。対象は末梢神経障害のない22例44肘で、検査部位は内側上顆より尺骨神経の走行に沿って近位1cm、2cm、遠位1cm、2cmおける長軸像、短軸像を描出した。

(結果)各部位間の差は有意でなかった。fibrous band部での長径は2.0±0.5mmであり他部位より減少していた。内側上顆部における左右差、同部位における性別、年齢別で有意差はなかった。肘関節伸展位と最大屈曲位での神経の縮小率を求めると、遠位1cmで最も縮小率が最大となった。

(考察)肘部管症候群ではfibrous band部で尺骨神経は絞扼されるが、正常例でも前後径が減少しているのが観察された。また肘関節伸展位と最大屈曲位での尺骨神経の形態変化の評価が可能であり、最大屈曲位にすると偏平化し、内側上顆より1cm遠位で神経の縮小率は最大であった。