6, 超音波検査で診断に至った腸腰筋血腫の2例

手稲渓仁会病院救急部1、同整形外科2
亀田徹1、高橋功1、佐々木勲2、上金伸一2


病歴及び身体所見にて腸腰筋血腫を疑い、ポータブル超音波機器にて診断に至った腸腰筋血腫の2例を経験したので報告する。症例1、24歳男性、スノーボード中に転倒し、その後右股関節部痛が増強、やがて歩行困難となり同日救急外来受診。右股関節屈曲位で伸展時激痛を生じた。腸腰筋血腫を疑い超音波検査を施行、右大腰筋の著明な腫脹があり右腎を圧排していた。症例2、74歳女性、転倒後近医整形外科にて肋骨骨折の診断を受けた。2日後左下腹部から左股関節部の痛みで歩行困難となり、翌日救急外来受診。左股関節屈曲位で伸展時激痛を生じた。また左下腹部に圧痛あり、左大腿動脈外側に腫瘤を触知し圧痛を認めた。超音波検査にて左大腰筋の著明な腫脹を認めた。携帯型超音波の普及により外来での超音波の使用が容易になりつつある。正常腸腰筋でも腹部超音波検査で描出可能であり、病歴と身体所見をもとに超音波を施行すれば腸腰筋血腫の診断は可能と思われる。