7, 肉離れの超音波診断について

ーエラストグラフィー(組織弾性イメージング)を用いてー

辻村外科病院 外科、中京大学体育学部

辻村 享

肉離れは、スポーツ障害のなかでもよく遭遇する疾患で、日常診療において、問診、触診に加え、超音波、MRI検査などによる診断が行われている。自発痛は、比較的早く消失してしまうが、治癒過程が長く、スポーツ再開の指標は指導者等の経験に頼らざるを得ない。一方、超音波診断の発展は著しく、組織の弾性を可視化したエラストグラフィー(組織弾性イメージング)の登場により、すでに乳癌、甲状腺疾患などの補助診断に応用されており、各臓器に渡りその応用が検討し始めている。今回、われわれは、エラストグラフィーを用いて下肢の肉離れの診断を試みた。従来のBモード画像に較べ、硬さの相対評価による本法は、症例数が少ないものの、初期診断、治癒過程の観察に有用と思われた。自験例を紹介し、解説したい。