主題 上肢の超音波診断

 

 

超音波画像からみたde Quervain病の隔壁の関与について

 

聖マリアンナ医科大学  整形外科

清水 弘之  中島 浩志  松下 和彦

新井 猛  泉山 公  吉田 典之  別府 諸兄

 

 

【目的】我々はde Quervain病の超音波画像で隔壁の有無と腱周囲の低エコー像の程

度を調べ、治療方針の判断材料に利用しているので報告する。

【対象】初診時または経過中に超音波検査を行った95例100手(保存例66手、手術例34手)を対象とした。短軸像を中心に隔壁の有無と短母指伸筋腱(EPB)と長母指外転筋腱(APL)周囲の低エコー像により腱鞘の肥厚の程度を評価した。

【結果】隔壁と腱周囲の低エコー像を有する例では手術例や注射回数も多く、寛解期間は長くなる傾向にあった。隔壁のない低エコー像を有する例では保存有効例が多く、隔壁や低エコー像のない例では手術例がなく、早期に寛解が得られていた。

【考察】超音波検査で隔壁の有無と腱鞘の肥厚の程度は評価可能であつた。隔壁と低エコー像の有無で症例を4つのタイプに分類でき、これらは治療効果に反映していた。本症の治療方針の判断材料に超音波画像は利用できると考えている。