主題 上肢の超音波診断

 

 

手根管症候群の超音波診断

 

医療法人財団天翁会

中島 浩志

聖マリアンナ医科大学 整形外科学教室

松下 和彦  清水 弘之  新井 猛  泉山 公  別府 諸兄

 

 

【目的】手根管開放術後の正中神経を超音波検査し、その画像の変化から除圧効果を評価した。

【方法】手根管症候群の手術を施行した43例50肢に対し、術前後に手根管部の神経伝導速度計測と超音波断層撮影を行った。超音波画像では、手根管内外における正中神経の厚みの差や陥凹がなくなり、管内における神経の扁平度が減弱し、神経の屈曲が減じて浮上した症例に改善所見があるとした。

【結果】26肢において、神経伝導速度の改善度に相応して超音波所見も改善を認めた。20肢は一致せず、うち10肢は超音波では明確に改善しても伝速値の改善が乏しく、10肢は超音波所見の改善度が明確でないのに伝速所見が改善していた。4肢は超音波画像の画質が不良で判定が困難であった。

【考察】術後症例の半数以上で超音波検査は神経伝達速度に合致した所見をえられた。超音波画像は神経の形態を描出することで術後の改善度を評価できる。