主題 上肢の超音波診断
超音波断層法を用いたLister結節形態の評価
正常例の観察
大阪医科大学 整形外科
森 拓美 渡辺 千聡 白井 久也
植田 直樹 大塚 尚 阿部 宗昭
【目的】橈骨のLister結節の形態学的特徴を超音波断層法を用いて評価すること。
【方法】健常成人男性15名(平均32.4歳)、女性15名(平均27.7歳)、計60手関節を対象とした。超音波装置は東芝製SSA-700A、12MHリニアプローブを使用した。検査肢位は、肩関節90°外転位、肘関節90°屈曲位、前腕回旋中間位、手関節掌背屈0°で行い、Lister結節の短軸像を観察した。
【結果】超音波画像にて、Lister結節は、結節が1個の一峰性(Type1:35.0%)と2個の2峰性(Type2:65.0%)に分類できた。また、一峰性で尺側に腱溝を認めないもの(Type1-1:14.3%)、腱溝を認めるもの(Type1-2:85.7%)、二峰性で結節間が浅いもの(Type2-1:87.2%)、結節間が深いもの(Type2-2:12.8%)に分類できた。
【考察】橈骨遠位端骨折にEPL断裂が合併することがあるが、その原因は未だ明らかでない。今回、我々はLister結節の形態に着目し、まず正常例を観察した。過去に超音波断層法で結節を観察した報告はなく、今後は橈骨遠位端骨折後の症例を含めて検討を行う予定である。