一般演題

 

 

超音波顕微鏡による腱・靭帯骨付着部の微細物性の計測

-脱灰操作が組織音速値に与える影響の検証-

 

 

東北大学 整形外科 

佐野 博高  服部 弘之  国分 正一

東北大学加齢医学研究所 病態計測制御分野 

西條 芳文

 

 

【目的】石灰化組織を含む腱・靭帯骨付着部について,脱灰操作後に超音波顕微鏡による組織物理特性の計測が可能であるか検証すること。

【方法】白色日本家兎6羽の棘上筋腱骨付着部を,線維方向に沿って前後に2分割した。前方切片は脱灰を行なわず(N群),後方切片はEDTAによる脱灰操作を加えた後に(D群),厚さ5μmのパラフィン切片を作成した。超音波顕微鏡を用いて腱骨付着部周囲の組織音速を計測し,腱骨付着部における各組織の音速値をN群とD群の間で比較した。

【結果】非石灰化線維軟骨の音値は,N群1575m/sに対してD群1572 m/sとほぼ一致していた。これに対して,石灰化線維骨ではD群で音速が低下する傾向を示した(N群:1756m/s, D群:1672m/s)が、統計学的有意差は見られなかった。

【結論】腱・靭帯骨付着部については、脱灰操作を加えても超音波顕微鏡による計測が可能であると考えられた。