主題 深部静脈血栓症の超音波診断

 

 

超音波検査法における術前術後認めた

下肢深部静脈血栓症310例の検出経験

 

三重大学医学部 整形外科

     施 徳全  須藤 啓広  笠井 裕一  松峯 昭彦  

長谷川 正裕  近藤 哲士  平田 仁  内田 淳正

  博仁会村瀬病院 整形外科 

榊原 紀彦  佐藤 昌良  塩川 靖夫

 

 

 近年整形外科に発生する肺塞栓症の原因である下肢深部静脈血栓症(DVT)への関心が高まり、簡便かつ有用な超音波検査法(US)が注目されている。当科は1996年からUSを術後DVTの早期診断法として臨床応用し、1999年1月から2004年12月まで検査した1504症例中、術前35例、術後275例計310例の下肢DVTを認めた。検出部位は近位型が53例(55肢)、遠位型が257例(284肢)であった。近位型は総大腿静脈とその近位が5例、浅大腿静脈が30例(32肢)、膝窩静脈が8例、合併発生が10例(遠位型との合併が5例)であり、遠位型は下腿本幹静脈のみ50例(52肢)三頭筋静脈のみ118例(129肢)、多枝合併発生89例(103肢)であった。

今回、USにおける血栓の形態学的特徴と検出経験、そして静脈造影所見との比較研究、さらに成人屍体52肢の下肢静脈(特に下腿静脈)の解剖学的所見から検討したい。