主題 深部静脈血栓症の超音波診断

 

 

超音波断層法を用いた深部静脈血栓症のスクリーニング

 

永山病院 整形外科

柳川 哲司  成山 雅昭  岡崎 辰也

 

 

【目的】われわれは、DVT予防のため積極的に間欠的空気圧迫装置(以下FP)を用いている。FP使用の指標として下肢静脈超音波断層法(以下US)の有用性を検討した。

【対象および方法】2004年12月から4カ月間に入院時にUSを施行した症例は82例である。このうち、日整会のDVT予防ガイドラインの中リスク以上の手術を行った32例には術翌日にUSを再検し、所見を検討した。

【結果】入院時にDVTを認めた症例はなく、FPを入院直後から使用した。術後4/32例(13%)にDVTがみられ(症候性1例、無症候性3例)、FPを中止し抗凝固療法を行った。USにて術後DVT(-)であった症例には十分な歩行ができるまでFPを引き続き使用した。症候性PEを合併したものはなかった。

【考察およびまとめ】FPはDVTの予防に有用とされるが、既に形成された血栓を遊離させPEを誘発させる恐れもあり慎重な使用が求められる。USでは低侵襲に血栓の検索が可能であり、術前後のUSの所見を比較することにより術後のFP使用の可否の判定に有用であった。