主題 深部静脈血栓症の超音波診断

 

 

周術期肺塞栓予防における下肢静脈エコー(US)の検討

奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部
山下 奈美子、平井 都始子、齋藤 弥穂 
同 放射線科 佐谷 徹、中島 祐子 
同 整形外科 玉井 克弥、小畠 康宣、川手 健次、高倉 義典

(目的)周術期肺塞栓予防における下肢静脈エコー(US)の有用性を検討した。

(対象と方法)2003年4月から2005年3月に施行された整形外科疾患の手術患者1038例。基礎因子、手術因子、その他から独自に策定したリスクスコア、D-Ddimer、血栓素因や血栓症の既往をもとにハイリスク群に対し術前にUSを実施し、DVTの有無とスコアの値により策定した予防措置を行った。また、術後症例については、術後一週でのD-Ddimer≧10μg/mlまたはDVTの臨床症状のある症例にUSを実施した。

(結果)術前USを施行したのは93例、DVT23例(24.7%)であった。全例のDVTは膝窩より末梢に限局していた。術後USを施行したのは59例でDVT43例(72.9%)であった。疾患別には股関節、膝関節の手術例に多く、中枢型1例、大腿型4例、末梢型38例であった。プロトコールに従い予防措置を実施した結果、症状を有する肺塞栓症は1例も認めなかった。

(結論)周術期肺塞栓予防にUSは有用であった。