主題　骨・軟部腫瘍の超音波診断

超音波画像診断が有用であった筋肉内型結節性筋膜炎の1例

自衛隊横須賀病院　皮膚形成外科

千々和　剛

自衛隊横須賀病院　整形外科

土原　豊一

自衛隊横須賀病院　検査部病理

堂本　英治

結節性筋膜炎は急速に増大する良性の腫瘍様疾患である。今回比較的まれな肩に発生

した筋肉内型の結節性筋膜炎の1例を経験し、超音波画像診断が有用であったため報

告する。

症例は44歳男性、左肩前方に約1.5cm大の表面平滑で弾性硬な、軽度の自発痛及び激しい圧痛を伴う皮下腫瘤を認めた。MRIでは三角筋内に、T1強調画像にて筋肉と比べほぼ等信号で、T2*強調画像にて高信号な腫瘤を認めた。超音波画像所見では三角筋内に直径1cm大の辺縁低エコー、内部不均一な紡錘形腫瘤を認めた。カラードプラー法では腫瘍内部の血流信号は乏しかった。神経鞘腫・結節性筋膜炎・腹壁外デスモイドなどが疑われ、生検術施行し、結節性筋膜炎の診断を得た。しばらく経過観察していたが、消退傾向見られなかったため2ヵ月後全摘出した。術後の再発は認められない。

結節性筋膜炎において超音波画像診断は、鑑別診断・フォローアップに有用であった。