主題 骨・軟部腫瘍の超音波診断

 

 

神経鞘腫の超音波診断におけるfat signの重要性

Ultrasonographic findings of Schwannoma

 

兵庫医科大学 整形外科

麩谷 博之  吉矢 晋一

兵庫医科大学 中央臨床検査部

肥塚 明日香

 

 

【目的】神経鞘腫の特徴的な超音波画像所見を検討する。

【方法】軟部組織発生の神経鞘腫21例を対象とした。SIEMENS社製Sequoia512、リニアタイプのプローブを使用した。検討項目は内部エコーと構造、境界、後方エコー、神経との連続性、腫瘍辺縁組織、血流シグナル、末梢血管抵抗(PI)の測定である。摘出標本の病理像との比較検討も追加した。

【結果】内部エコーは20例(95%)が低エコー、内部構造の不均一が19例(90%)、辺縁整

15例(71%)、後方エコーは全例に増強していた。神経との連続性は1例(5%)のみ確認できた。一方、腫瘍端に紡錘形の高エコー領域を19例(90%)に認め、病理像では神経外膜内に存在する脂肪組織であった。全例に豊富な血流シグナルを認め、PIは平均1.51であった。

【考察】神経鞘腫は境界明瞭な紡錘型の低エコーと後方エコーで、特に神経との連続

性が重要との報告があるが、本検討では1例のみであった。一方、腫瘍端に紡錘形の高エコー領域(fat sign)を90%に認めた。以上より、fat signが神経鞘腫に重要な超音波画像所見の一つと考えた。