主題 骨・軟部腫瘍の超音波診断

 

 

四肢軟部腫瘍におけるパワードプラエコーの有用性

 

大阪医科大学 整形外科

  植田 直樹  馬場 一郎  根木 陽一郎  阿部 宗昭

 

パワードプラ(PD)は,関心領域内の移動する血球の密度を表示し,低速の血流でも明確に可視化でき,従来のカラードプラでは描出しにくかった血流も容易に捕らえられる.本研究の目的は,四肢軟部腫瘍の中でPD陽性症例の血流の分布を検討することである.

2003年1月以降のPD陽性例の軟部腫瘍および腫瘤病変10例を対象とした.超音波診断装置は東芝社製SSA-700A ティシュハーモニック14MHzを用いた.Woudeらの血流パターンを参考に,腫瘤の血管が辺縁に1-2本と少数のもの(タイプ1),腫瘤辺縁より内部に多く入りこむもの(タイプ2),腫瘤内全体に多数血管が存在するもの(タイプ3)に分類し評価した.タイプ1が5例(結節性筋膜炎,シュワン細胞腫,血管平滑筋腫各1,腱鞘巨細胞腫2例),タイプ2が2例(筋肉内血管腫1,筋肉内肉芽腫1例)タイプ3が3例(横紋筋肉腫,胞巣状軟部肉腫,Castleman病各1例)であった.タイプ2の血管腫の所見を基準にすると,タイプ1は良性腫瘍病変を,タイプ3は悪性腫瘍を考慮すべきである.