主題 上肢の超音波診断

 

 

超音波検査による棘上筋萎縮の評価 

 

高槻赤十字病院 整形外科

三幡 輝久

 

 

【目的】腱板断裂の治療成績に棘上筋萎縮の程度は影響すると思われる。本研究の目的は超音波検査により棘上筋萎縮の評価が可能か否かを検討することである。

【方法】腱板断裂を伴わない特発性肩関節拘縮患者6例と肩関節自動挙上不能である腱板機能不全患者4例(関節リウマチ1例、腱板広範囲断裂3例)を対象とした。東芝製超音波診断装置SSA390Aと8MHzリニアプローブPLN-805ATを使用し肩甲棘上部における棘上筋腹の厚さの最大値を計測した。棘上筋萎縮を定量的に評価するために棘上筋腹の厚さの患健側差を計算した。

【結果】拘縮患者の棘上筋腹の厚さの患健側差は0.2±0.1mm、挙上不能患者の患健側差は3.3±2.6mmであり、両群間に統計学的に有意差を認めた(p<0.05)。

結論腱板機能不全による棘上筋萎縮を超音波検査により定量的に評価することができた。本法は腱板断裂患者の治療方針を検討する上で有用な評価法になりうると思われた。